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プロトタイプ宣言!

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モンハンの分解

先週末にまたちょっといくつかフリゲをやってて思ったこと。

例えば、モンスターハンターというゲーム。
ミクロな視点で行くと、まずモンハンはアクションゲーム。
武器ごとにちょっとずつ違う操作で、回避したりガードしたりしながら
隙を突いて攻撃して、アイテムとか怯みでチャンス作って、どーんみたいな。
アクションゲームなので、まず動かしていて楽しい。
大剣溜め3あたったら嬉しい。ジャストタイミングで回避したら嬉しい。
操作に習熟して、倒せなかったモンスターを倒せたり、別の武器でも倒せるようになったり、
早く倒せるように、あるいはノーダメージで、アイテム無しでと上達があって楽しい。

もう少しマクロに見ると、ハクスラというか、
RPG(役割を演じるではなく、繰り返しするの誤解の方)的な側面があって、
イャンクックが倒せない→何度も死んでイャンクックを覚えて倒す、という
プレイヤーの成長によるアクション的な攻略と、
倒せない→ドスランポスをたくさん倒す→装備とアイテムをそろえる→イャンクック倒せる
というキャラクターの成長による攻略がある。
なので、モンハンの序盤はマクロに見ると成長のゲーム。

でも成長には限界があって、
例えばすべてのモンスターを狩り尽くしたとき、
あるいは最強の武器を作成したとき、
あるいは全クエスト制覇したとき、
成長のゲームはそこで終わってしまう。
ただ、モンハンはここでは終わらない。
片手剣の最強装備ができた?じゃあ次はランスだ、とか。
ガノトトス100体倒してあの称号が欲しい、とか。
キングサイズ全部集めるとか。勲章とか。
モンハンの終盤は、コレクションのゲーム。
それ以上の成長はないけど、まだまだ遊び尽くせていない。

マクロに見るとプレイヤーとキャラクターが少しずつ成長して、
できなかったことができるようになっていく。
あるいは何かが(縦に横に)積みあがっていく。
ミクロに見ると動かしてるだけで楽しい。
これが両立してるのがいいゲームなのかなーと。

ゲーム制作(実際に"制作"できてる期間は短いけど)やってて、
ようやくこのあたりの分類ができるようになって、
自分の制作者としての立場も分析できるようになってきた。

分析できるからいいゲームができるというわけではないけど、
迷ったときに客観的によさそうな道を選べるのはいいことなのでメモ。

# by Lse_w | 2018-11-24 18:00 | ゲームデザイン
そして女神が微笑むは
信ずる術の威武のもと
天地めぐる渦のごとく
防ぎ、躱し、隙を突き
肉を斬らせて骨を断つ

防ぎ躱し隙を突き 肉を斬らせて骨を断つ_a0363319_14445803.png
集められた8人の戦士
防ぎ躱し隙を突き 肉を斬らせて骨を断つ_a0363319_14475630.png
技を駆使して勝利を目指す

プレイはこちらから→ぎしをき v0.1.0
1プレイ30分~1時間のブラウザゲームです。
インストール不要ですぐに遊べます。
ブラウザのバージョンが古い場合、動作しない可能性があります。
マウス操作です。
スマホ・タブレットからの操作は想定しておりません(快適にプレイできない場合があります)。

セーブについて
1試合ごとに画面の上セーブ欄にふっかつのじゅもんが出力されます。
これをロード欄にコピペし、タイトルから「祈る」を選択するとそこから再開できます。
ふっかつのじゅもんは再読み込みすると消えてしまうので、
データを保存したい場合テキストファイルなどに保存してください。


スペシャルサンクス
 ●アクター素材:Rド
 ●アイコン素材:素材屋Rosa
 ●背景素材:ぴぽや
 ●使用ライブラリ:phina.js
 ●開発環境:editey
 ●開発ツール:JS Minifier

# by Lse_w | 2018-11-10 18:00 | 自作ゲーム

周回プレイ

最近はまった(というか、はまったという印象が残った)ゲームは、
大体周回プレイしてる気がします。
面白かったからまたやりたくなるのは自然ではあるのですが、
それはそれとして、ゼルダBotWを一から全部やり直したいかというと、そうでもない。

BotWはオープンワールド(エアー)というのもあって、
最初からやり直すより、同じデータで新しいことどんどんやるのが
推奨されているような気はします。
というか、2周目からは序盤の不便な期間が長すぎる。
それを越えてさらに満足できるまで遊ぼうと思うと、
結構気合がないと始まらない。
1周目としては本当に素晴らしい完成度だと思います。

やっぱり周回プレイのモチベーションとして、
"前回よりずっとうまくやれそう"という感覚が大事かなーというのが一つ。
あと、ボリュームありすぎると、それなら別のゲームがしたいなと感じるのが一つ。

Splatoonとか、ある意味完璧な周回プレイシステムを持ってて、
一プレイ数分~十数分で、密度・ランダム要素・プレイヤーの成長
どれも十分すぎるほどにあって、いくらでもできてしまうのが恐ろしい。

OCTOPATH TRAVELERは、エンディングまでの長さを調整できるのもいい。
キャラ1人分のストーリーを追うのも、メインパーティ4人分でも、
8人全員分でも、裏ボスまででも区切りがあって、
そこまでやってみるかと気楽に始められる。

短編フリゲに惹かれるのは、制作者としても参考になるからだけではなく、
周回プレイに適した作品が多いからなのかなと思ったり。
自分で作るときも、やっぱりそこは意識したい。
周回プレイできないと作った本人がほぼ遊べないというものありますが。

S-Witchbのときに、
「システムにボリュームが見合っていない」みたいなコメントがあって。
もっと遊びたくなるという褒め言葉だったと思うのですが、
それはそれとして、やっぱりちょうどいいシステムの複雑さはあるよなと。

システムを全力で作り込み、それに見合うデータを気合いで作り込み、
というのは私にはエターナルまっしぐらなので、
次作るのは習作ということもあって、
とにかくシンプルに保つってあたり気を付けたいところ。
だからって、やりたいこと一つも残らないのは意味ないけど。
Switchbのときはなくて、DefinEdgeで導入しようとした"アイテム"、
一つ一つが例外処理の塊だったので、
追加するのは最後にしたほうがよくて、
縛ってもゲームとして問題なく遊べるところに、
不便さとかかゆいところを解決するために入れるのがいいかな。

# by Lse_w | 2018-11-01 18:00 | ゲームデザイン

見えている宝箱

前回は探索要素の話をしたので、今回は見えている宝箱の話。

見えている(けど取れない)宝箱は、マップ上のギミックとしてよく出てきます。
一番オーソドックスなのは、マップ切替とか隠し通路を経て回り道するととれるってやつ。
ポケモンとか2Dゼルダだと、秘伝技なり道具なりが要求されたりもします。
2Dゼルダが特にえらいのは、何が手に入るか(というか大体ハートのかけら)まで見えてるところ。
絶妙に欲しいけど、めんどくさければ無視してもいい。

同じしくみをノンフィールドRPGでも組み込めて、
もちろんマップギミックはマップがないので無理なんだけど、
要は"すぐには手に入れられないが、(喉から手が出るほど)欲しい"ものと、
それを手に入れるため条件が提示されてれば、
まずはそれを手に入れよう!というのが導線として機能するわけで。

得られる結果が似通っていても、
探索プレイを奨励しその報酬が与えられる"隠された"宝箱と、
導線を提供しシナリオやモチベーションに影響する"見えている"宝箱は
役割というか、デザイン的な立ち位置がやや異なります。

隠された宝箱の取得を前提にボスの調整をすると、しらみつぶし探索ゲーになりますが、
見えている宝箱の取得が前提くらいなら用意したギミックは解いてね系、
見えている宝箱とその他の手段が用意されていれば、それが自由度になると。

で、習作におけるシナリオの選択肢は、
基本は見えている宝箱の取捨選択になるのかなと。
日数制限があるとして、全部取ると日数がかかりすぎる。
あれはこの日までにほしい。これはあそこでこれだけ日数削減できる。
という感じで、シナリオ分岐できればまずは十分かな。

# by Lse_w | 2018-10-31 18:00 | ゲームデザイン
第9回ウディコンに参加しての一連の活動から、沈没して約一年。
いろいろあってゲーム制作はあんまり進まなかったのですが、
プレイヤーとしてはたくさん名作に出会えました。
(ゲームは中断も再開も簡単だから気楽に始められるけど、
ゲーム制作はバックアップとってもルールが複雑すぎてどれが何したやつだっけ
これとこれマージしてそれから……これどこまでやったっけ……
みたいに考えること多いから実質ロードできないし、
そうするときっちりパーツをくみ上げる
イメージとエネルギーがないと始められない……。)
OCTOPATH TRAVELERもその一つ。
あ、今回の記事もネタバレを含むのでご留意ください。

テリオンというキャラクターがいます。
彼は盗賊で、例えレベルが1の状態でも、
試してみたくなる確率で高ランクの装備を"盗む"ことができます。

OCTOPATH TRAVELERのすごいところの一つは、
バランス崩壊を過度に恐れていないところです。
普通のゲーム制作者なら、最初のマップに隠し宝箱があって、
その中のアイテムを使うとラスボス手前までの敵を楽々倒せるようなゲームは
作らないか、クソゲーとして作るでしょう。
OCTOPATH TRAVELERは、これと似たようなことが仕様上可能になっています。
最初から行ける街の一つに準最強装備の金の斧が隠されていたり、
学者を仲間にすることで終盤のマップにほとんどレベル上げなしで乗り込めたりします。
しかし、これで実際にバランスが崩壊したかというと、実はそうでもない。

RPGで、成長に必要な要素は何でしょうか。
昔ながらのドラクエとかポケモンとかをやっていれば、
まず「レベル上げ」が思い浮かぶと思います。
しかし、実はそれは手段の一つでしかありません。
昔ながらのドラクエやポケモンだって、
「探索」によって装備や技マシンを発見し、強くなることができたはずです。
ただ、それがそこそこの(レベル上げを不要にしない)範囲に収まっていただけで。

制作者の立場にあると、全ての要素を知ってしまいながら
バランス調整することになります。
そのため、その時点で入手可能な強い装備があれば、
それを基準に考えてしまいがちです。
ですが、今更普通にレベル上げして、普通に装備をそろえて、
普通に苦戦するゲームを作って、面白いでしょうか。
もちろん、それで面白くなるように意識的に作るのならありだと思いますが。

OCTOPATH TRAVELERは、つまり、探索だけでも強くなれるゲームです。
テリオンがレベルによらず(もちろん、レベルが上がればより簡単に)
強い装備を入手できるにも関わらず、
これを初めて遊ぶ人がヌルゲー・クソゲーと認識しないのは、
装備の入手が可能なだけであって、
実際にはそのために時間をかけて自らの力でそれを発見しなければならないからです。
そこには、レベル上げするか、探索するかの違いしかなく、
低レベルでクリアできることに何の問題もないのです。

本当に強い装備を隠しぬくだけのデータ量があることもあって、
OCTOPATH TRAVELERは、新しい発見があるたびに
新しいシナリオを思いつけるゲームになっています。
それは最初は、新しい宝箱、新しい「盗む」対象、新しい「探る」対象にすぎず、
ちょっと火力が上がるとか防御が上がるとかなのですが
(一周目はこれだけでも嬉しいし楽しい)、
そこに精霊石みたいな消費アイテム、傭兵呼びという消費型の強行動が組み合わさり、
一つ一つの発見が有機的につながって、
あのボスはこんな序盤からワンターンキルできるとか、
あのボスはこんな低レベルでも突破できるとか、
どんどんシナリオが更新されていくのです。
エンカウントしない最低歩数とかいう仕様も、
初めからプレイヤーに通知されてしまえばバランス崩壊待ったなしですが、
通常はゲームの快適さに多大な貢献をするだけである一方、
悪用(?)するのはゲームを遊びつくしたTAランナーくらいのものなので、
むしろ周回プレイを面白くするエッセンスになっています。

戦闘システムもよくできています。
詳しくは別の機会に書くかもしれませんが、
行動順が運次第なのに重要だから操作できる行動が用意されていたり、
デバフが確定で入って強力なのでその本分(つまり強敵対策)を全うできたり、
どんな強敵にも条件を満たせば行動不能&防御ダウンを入れられたり、
それによって各属性やそれを扱える職業に個性(ボスとの相性)が生まれたり、
連続攻撃に特有の強みが生まれたり、
レベル・パラメータ依存じゃない消費型の火力ソースがちゃんと用意されてたり、
あとSEが神。

PC環境の都合で、最近フリゲを遊ぶときは(実は制作も)音無しでやっているのですが、
OCTOPATH TRAVELERのおかげで、どんなにもったいないことをしていたか気付かされました。
S-Witchbのときも、音回りが微妙なのは指摘されてましたね……。

例によってとりとめがないのですが、OCTOPATH TRAVELERは、
● 制作者視点でのバランス崩壊に囚われず、探索による成長ができる
● それにより、周回プレイ時はシナリオがどんどん更新されて飽きない
● ハイクオリティの映像・音声・物語で構成された
RPGなのです。

いくつかの動画サイトで確認できますが、1時間を切るレギュレーションのRTAもあるみたいですね。
体験版で3時間でこんなに進んだスゲーとかやってた頃が懐かしいです。

ゲーム制作をするとき、制作者の自分も楽しめるものをと思っているのと、
短編しか作れない障害を抱えているので、だいたい周回プレイを想定するのですが、
シナリオの概念の発見は本当に大きな一歩だったと思います。
あとは、限られたデータ量で奥深い探索ができるシナリオ空間(ぱっと見わからないシステム)が作れれば、データ埋めるだけ状態になれる。
そのために、
● シナリオ構築のための、明確に強調されるルール
● シナリオ更新のための、探索が必要な隠された要素
● 一長一短の個性:障害(ボス)の弱点や行動パターン、それに応じて生まれる選択肢ごとの得手不得手
● それを不確定にする乱数
このあたりを意識してデータを作っていけばいいし、
それを前提にしてシステムを作っていきたいなと。

# by Lse_w | 2018-10-30 18:00 | ゲームデザイン